向拝の新設

本堂の前方階段の上に延びる屋根を
向拝(こうはい)、または御拝(ごはい)とも呼ばれますし、
階段の上になるので階隠(はしかくし)と呼ぶこともあります。

もともとは、宗教建築に向拝は無かったそうです。
中世頃の仏教の教えが庶民の心を引きつけ、
仏教が生活の中に浸透していった事により、
寺院に人の出入りが多くなっていきました。

そして、雨の日に参拝する方の為に
雨除けの向拝を設けることが多くなっていったのです。

この向拝ですが、現在のご本堂に無くても、
これから新設することも可能です。

実際に、現在の軒に向拝を設置した御寺院様の例を見てみましょう。

 

【向拝の新設事例】

違和感なく取り付けられています。
雨除けにもなり、参拝者に大変喜ばれるようになったそうです。

こちらの御寺院様の場合、現在の軒にそのまま向拝を付けると
敷石から虹梁までの高さが2,400mmしか取ることが出来ませんでした。
この高さですと少し低い印象があり、圧迫感を感じられるかもしれません。

原因は、飛燕垂木(ひえんだるき)が地垂木(じだるき)よりも
勾配をきつく施工されていたからでした。
理由はわかりませんが、実測調査をして判明したことです。

本来、二重垂木仕様の場合は、
地垂木よりも飛燕垂木の勾配が緩くなっていることが通例です。
これは、軒を伸ばしたときに軒が下がらないようにして、空間の高さを出すためです。


<向拝部分の断面図>

①現在の軒

参拝された方が雨にぬれてしまい心許ないですね。

②現在の軒の延長線上にそのまま向拝を設置

軒の深さは確保できますが、
その分、下につきだしてしまい、高さが低くなってしまいます。

③飛燕垂木の勾配を緩く変更し向拝を設置

飛燕垂木の勾配を少し緩くすることで
軒の高さを下げずに深く前に出すことが可能となりました。
参拝される方が、窮屈に感じる事なく、
また雨に濡れることもなくお参り頂けます。

ご住職様のご要望の通り、「向拝の新設」だけを目的とすると
出来上がりが不満足なものになってしまう場合もあります。
何のために新設するのかと“真の目的”を理解した上で
お施主様が納得、喜んで頂けるようなご提案をして参ります。