壁の耐震対策

神社仏閣等などの伝統工法では、開口部を多く取り開放的で、
屋根が大きく重い建築が多くあります。
例えばご本堂。正面は開口部が多くある多いでしょう。
風通しも良く、室内が明るくなり開放的な印象になります。

 

一方で、「耐震性」という観点からすると
あまり「耐震性に優れている」とは言い難い状況です。

 

耐震性は、「壁」が判断材料の一つとなります。
実は、正面に多く配置されるガラス窓や建具は「壁」には含まれません。

建具を撤去し、壁を追加すると耐震性は格段にアップします。

ただ、「壁を多くして耐震性を向上する」と簡単に結論づける事は難しい事です。
重要なのは、その「バランス」。

 

■壁のバランス「重心」と「剛心」

壁の無かった所に新たな壁を作ることは可能です。
建物構造物・屋根に対する支えが増え、横揺れに対する抵抗に効果があります。
ただ、重要なのは配置バランスで、「重心」と「剛心」という考え方です。

 

「重心」とは建物の重さの中心。
「剛心」とは横揺れに対する建物の強さの中心。
振り子にたとえると、重心がおもりで剛心が支点になります。
この2点の距離が近ければ、バランスの良い建物ですが、
重心と剛心が離れているほどバランスが悪くなり、地震時の倒壊危険度も増します。

 

この重心と剛心のへだたりのねじり抵抗に対する割合が「偏心率」と呼ばれ、
その数値が大きい程、偏心の度合が大きくなります。

たとえば、2000年(平成12年)の建築基準法改正において、
木造住宅においては『偏心率は0.3以下であること』と規定されました。

この偏心率は0に近ければ近いほど、バランスの良い建物ということになります。

 

 

改修で壁を作るときは、この「重心」と「剛心」のバランスを良くすることで
地震の際に建物がねじれにくくなります。

壁を増やして耐震性をアップさせたいときは、この2点に注意すると良いでしょう。

 

また、耐震性を高めるのに壁を増やす以外でも有効な方法があります。

・地盤や基礎から直す

・屋根を軽くする

・制震ダンパーを取り付ける

 

まずは、現状を確認しどの方法が最適かを調査することから始めましょう。